morinosotohe

1997年生まれ

勾配

2022.12.02

明日からの週末ははじめての連勤で、今日がもしシフトだったら寝坊していた。こないだ雨が降ったとき、明日から寒くなるらしいよと聞かされていて、たしかに翌る日から寒くなり、そして冬眠の兆しが来た。

もともと睡眠時間の長い体質とはいえ、カエルにもムーミンにもなれないし。整体を予約して電流でぐるぐるにしてもらったり、待ちかねていた掛け布団(防ダニ&洗濯機で洗える)が届いたり、冬支度と、起きていられるための、方法を試みている。ねむっているあいだに春が来ちゃうのはもったいないと思えるくらい、さいわい、冬、とくに11月中旬〜2月上旬頃が好きで、わたし、人間でよかったかもしれない。

 

きょうは市場で、ふくふくした野良猫を3匹もみた。木の枝のうえでまるくなっていた見下ろすまなざし、ずんぐりどっしり道路を横断してた尻尾、八百屋さんのお会計のとこにちょこんとお行儀よく揃っていたまえあし。バスで30分離れたこの町は、わたしの住んでいるところより若い世帯や人そのものがずっと多くて、だけど都会的ではなくて、すごく市井という感じがする。こないだはみかんをひと山、そのまえは、安売りになっていた20世紀梨を買った。

わたしのアルバイト先も、この町にある。きょうはシフトじゃないけどあそびに寄って、テイクアウト用にあたためてもらったチャイを握りしめて、また明日〜!って、あわててバス停へ。

 

あたらしい掛け布団(ほんとうはデュべというらしい)は、ふわふわで、ちいさな星がちりばめられていて、暖房のいらない心地よさ。それでも、うまく眠れなくて、もう会えないのかもしれない人に、ごめんねって、あやまってしまう。冬眠の兆しは眠気だけでなく、さまざまな幻影をつめたい雪へ落とす、厄介なものでもあるらしい。ほんとうに厄介か、といわれるとむずかしくて、だってわたしは、その人のことを、憶えたままで生きていきたいから。

 

目覚ましをとめてから起き上がるまでのまばたきの時間、海沿いをゆくバスの晴れた車窓の眩しさ、眠れないベッドの耳元。繰り返し、繰り返し、まいにち、おなじ歌を聴きながら、生きている時間のこと、老いていくことを、辿っている。12月は、ほんとうは、まだ何十日もあって、わたしに、何か、できるでしょうか。生きていられる、時間。

 

 

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